1925年(大正14年)師走のある一日を描いた芥川竜之介の小品です。今日は奇しくも2025年大晦日この小説が描かれてちょうど100年になります。芥川は東京・田端に住んでいて「年末の一日」は田端を背景にした唯一の芥川の小説です。(近隣の人々との交友を綴ったエッセイはあります)この作品の内容は師走の或る日に自宅を訪ねてきた知人と夏目漱石の墓地に赴きその墓を迷いながらも探し当てます。そして帰途、強い北風を受けると衰弱してきた自身を励ますようなシーンに遭遇します。地元田端の坂道で胞衣(えな)会社の従業員が上り坂で荷車を前に一呼吸置いている姿です。ここで芥川は懸命に荷車を押し続けるのです。時代は大正から昭和への新時代を感じさせる師走の慌ただしさのなか、身近な日常生活を意識的に捉えて体感した事実を「生きていること」を確かめているような情景です。この作品の冒頭は夢から始まりますが、夢と現実との交錯がとても見事に表現されていると思います。100年経った現在も色褪せることのない素敵な作品だと思います。
【「年末の一日」芥川竜之介の作品に想う】
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