ホームズ物語に不可欠なのが、ワトソン博士です。縁の下の力持ちとして描かれていますが、よく読んでみるとなかなか魅力的な人柄です。誠実で忠誠心に富み、温厚で常識的です。物事の本質を捉える能力に優れ、論理的・実際的・粘り強さ・謙遜が彼の長所だと思います。
一見強そうに見えるホームズも本質的には、弱虫で甘えん坊であって内心は不安が渦巻いていました。危険な場所に乗り込むとき必ずワトソンに同行を頼んでいますし、来てもらいたいときには電話1本で呼び出す駄々っ子でもありました。
ホームズはワトソンに自分の考えを話して、しゃべりながら思索を進めるのが好きでした。ワトソンはホームズの「心を研ぐ砥石」のような役割を果たしていたのです。事件には何ひとつわからないふりをして話を聴いて感心してくれるワトソンを前にすると、ホームズは直観力を研ぎ澄まされて思索がわきあがってくるのでした。「すごいね、ホームズ」「さすがだね!」と合いの手を入れてホームズの推理力を次々と引き出していく能力は見事です。カウンセラーには、共感的理解・受容・無条件の尊重・配慮などが求めらますが、ワトソンにはそのすべてが備わつているとしか思えません。
私にとってはとても素敵な人間関係、小さなころから人生の目標でした。
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